木工房 宗太郎のバナー 

木工四方山話(Moku-koubou Soutarou)

最終更新日:2005-06-10


No.003【釘やネジ、ボルトを使っていない家具が良い家具なの?】・・・2003-12-29

 木造の家で、『この家は、釘を使っていないから、良い家だ』という話しを聞くことがある。
 正しくは、『釘などに頼らなくても、丈夫で長持ちする様にきちんと作られた家だから、良い家だ』と言うべきだと私は思う。

 近年では、木造建築の場合、建築基準法により柱と柱を繋ぐ個所(継手)はボルトや金具などを使い補強することが義務づけられている。
 これは、台風や地震での家の崩壊を防ぐための・・・あくまでも補強としてである。
 ところが・・・この結果、『どうせ、ボルトや釘で補強するのだから』と継手の加工をあまく、あるいは、いい加減に加工する業者も多い様である。

 これは家の棟上(むねあげ)の様子を見ているとわかる。
 昔の家なら・・・大きな掛矢(カケヤ、木製の大きな木槌)を使い力強く柱を打ち込んでいたのに、最近の家には・・・小さな掛矢で、軽く叩くだけで、柱が組み建てられていくものさえ、少なく無い。
 こういう家は、年数が経つと、あちこちにガタがきてしまう。
 なぜなら、年月の流れとともに、木は痩せていくが、それを補強するボルトや金具は金属であり、木の痩せ方に応じて締まっていくことがないからである。
 当然、良い家とは言えない。

 これに対し、ボルトや釘に頼らなくても良い様にきちんと木と木の結合である継手を加工して建てている家であれば、この様なことはない。


 以上のことは木の家具についても同じことが言える。

 釘やボルトに頼った家具は、ガタがきやすい。
 釘やボルトに頼らない家具は、ガタきにくい。

 年数の経過による木の収縮や変形(そり)の方向・向きを考慮し決定した継手や仕口(木と木の結合方法)できちんと組み立てられた家具は、長く使える一品になるのである。

 ガタがきにくいどころか、木の痩せとともに、より頑丈になる継手さえある。
 それは、蟻溝の吸付き桟や、2段ほぞである。
 とは言っても、蟻溝の吸付き桟や、2段ほぞは、その機能をきちんと理解し、きちんと精度の良い加工を行わないとそうはいかない。
 吸付き桟を取り付けた家具だからといって、きちんと作られた家具とも限らない。

 むしろ、釘やボルトに頼った家具の方が、良い場合さえあるので、ご注意あれ。


 その木の家具が良いもの(丈夫で長持ちする)かどうかは、作家のひとが如何に木のことを理解しているかということと、如何に真面目に作っているかの二点に尽きるのかもしれない。

 もし、ある作家の木の家具が良い家具なのかどうか知りたければ、その作家のひとに直接尋ねてみては如何だろう・・・作品を目の前にして・・・ここは、どうしてこういう構造にしているのか?・・・と。
 それが、良い家具を作る作家のひとであれば、きちんと説明してくれて、あなたの木の家具に対する知識が増えることとなるでしょう。
 それが、良くない家具を作る作家のひとであれば、いくつかの質問を投げ掛けるうちに、しどろもどろな説明となり、あなたは、良くない家具に高額のお金を使わなくて済むこととなるでしょう。

Since 2003-05-25 Moku-koubou Soutarou