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木工四方山話(Moku-koubou Soutarou)

最終更新日:2005-06-10


No.004【木材の木目の方向について】・・・2004-01-06

 空手(からて)のデモンストレーションで、板割りを見られたことがあるかと思います。

 ひとりが左右の手を前に突き出し、その間に板を持つ。
 そして、もうひとりのひとがその板を殴ったり蹴ったりして、見事!まっぷたつ!と言うやつです。

 この時、板を持つ方向に非常に重要なルールがあることを知っていますか?
 このルールを守らないとどうなるか・・・デモンストレーションは、失敗に終わり、非常に惨めな結末となるのです。

 では、そのルールとは・・・左右の手の高さが同じ場合、木目が上下に流れる様に板を持つと言うことです。
(左右の手を上下に突き出す場合は、木目が左右です。)


 木材には、強度上、重要な方向性というものがあるのです。

 木材は、木目の方向に沿って割れたり、裂けたりしやすく、木目に直行した方向には、非常に割れたり、裂けたりしにくいのです。


 このもうひとつの例としては・・・やられたことの無い方には、イメージがわかないかと思いますが・・・薪割りがあてはまると思います。

 丸太を斧(おの)や鉈(なた)、鉞(まさかり)で割る場合、まずは、丸太を立てて置きますよね。
 この時、木目は、上下に流れています。
 そして、斧などを丸太の真上に振り下ろすと、木目に沿って、割れが上下に走り、左右にまっぷたつ!

 もし、丸太を横にして置いて真上から斧などを振り下ろしたらどうなるか・・・丸太は、割れません。
 割れないどころか、斧が弾き返されて、危険です。

 いやいや、もっと身近ないい例がありますね。
 それは、割り箸。
 事前に入れてある割れ目を左右に開くとどうなります?
 木目に沿って割れ、スパット2本に!


 今回、なぜこの様な話をするかと申しますと、・・・先日ある有名デパートの家具売り場の一画に置かれたあるメーカーの家具を見て、愕然としたからです。
 デパート名もメーカー名も公表をすることは避けますが、あの様な家具に惑わされる方が少しでも減ってくれればという思いからなのです。

 そこには、アルダーという木材を使った無垢の木の椅子やテーブル、チェストなどが数十点展示してありました。
 何気なく見たその椅子に私は、多大なる違和感を感じたのです。
 何かがおかしい。
 それが何かはすぐ分かりました。
 
 その椅子は、クサビを用いたノックダウン式の作りをしており、クサビには、奇麗な黒檀の様なものを使い、アクセントとしてありました。
 ただ、違うのは・・・クサビを効かせる方向。
 このクサビを打ち込んで効かせたら、この木材が(割り箸の様に)割れるやん!
 そして、椅子が壊れるやん!

 あまりしげしげと見る訳にはいかなかったので、定かではありませんが、その椅子が、組み立って、一応強度上成り立っているのだから、恐らくクサビは単に飾りとして付け、他の見えないところで、接着剤かネジなどでもたせているのでしょう。
 そうでなけでば、近いうちに、この椅子は間違いなく壊れるでしょう。

 それにしても、あまりにひどい!
 お客様をあまりに馬鹿にしている。
 騙してる。


 有名デパートに置かれた、高級な無垢の木の椅子。
 その中にも、この様なものがあるのです。


 これから無垢の木の家具を購入されようと思われている方には、是非、ある程度の見る目を養って頂きたい。
 もちろん、そのメーカーの椅子を置いているデパートの方にも。
 そう私は心から願います。

Since 2003-05-25 Moku-koubou Soutarou