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木工四方山話(Moku-koubou Soutarou)

最終更新日:2005-06-10


No.017【木工家のための強度学講座3(モデル化について)】・・・2005-06-10

 構造設計において、強度計算するため、あるいは、感覚的につかむために、構造・荷重のモデル化を行う。
 構造が複雑になればなるほど、このモデル化をうまくやらなくては、強度計算はし難いものとなる。
(有限要素法(FEM解析)などの計算は、ここでは、考えない。)

 モデル化とは、構造・荷重などを簡素化(分離)し、個別の部材・接合個所に働く応力を考える(計算する)ための手法である。

 例えば、最も簡単な構造の3人掛けのベンチ(縁台)の中央にひとりのひとが静かに座っている場合を考える。
 この場合を図のにすると次の様になる。
3人掛けベンチ図

 実際のベンチには奥行きがありますが、強度(曲げモーメント)的に厳しい左右方向だけを考えます。
(これで、充分。)

 まず、B点に鉛直に働いている荷重Wは、座っているひとの体重と考えれば良いでしょう。
(実際には、座っているひとの脚が床につき体重の一部を受ける場合がありますが、これを考えない方が安全サイドです。)
 よって、座るひとの体重が70kgであれば、
W=70kg・・・(1)
となります。
(ちなみに、JIS(日本工業規格)の木製品事務用いす(S 1028)の”いすの強度試験”座面強度試験では、132.6kgの荷重をかけ試験する様に規定されています。)

 次にA点、C点に働く曲げモーメントMは、荷重と支点までの距離の積であるが、両端の支持条件を固定と考えると、次の様になる。
M=W・900/4=70・900/4=15750kg・mm・・・(2)
 ちなみにBにおいても同じ値の曲げモーメントがはたらいている。

 座面の強度を考える場合には、上記(2)のMの値を考えなければならないことになります。
 A点、C点の接合強度(ホゾの強度)を考える場合は、上記(2)のMの値、及び、上記(1)のWの値によるせん断力(R)を考えなければならないことになります。
 脚の強度を考える場合には、上記(1)のWの値による圧縮力(R)を考えなければならないことになります。
R=W/2=35 kg・・・(3)

 上記は、モデル化の例であり、強度検討するための充分な条件ではありません。
 3人掛けのベンチである以上、3人分の体重(荷重)を考慮しなければ、先日起きた鉄道事故においてJR西日本が発表した、乗客無しで計算した脱線速度(机上の空論)と同じになってしましますので、ご注意を。

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