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木工四方山話(Moku-koubou Soutarou)

最終更新日:2005-06-10


No.018【木工家のための強度学講座4(両端固定はりの強度などについて)】・・・2005-06-10

 材料力学においては、構造体のいち部材の強度検討を行う場合、その形状・方向・荷重方向などから、はり、平板、柱、軸、円板、円筒、球として、強度検討を行う。
 ここでは、”はり”として扱うことができる場合についての説明を以下に記す。

 はりとは、漢字で書くと梁である。
 要は、水平方向に配置された部材のことと考えていただければ分かり良いと思う。
(実際には、水平配置でなくても、活用できます、します。)

 はりの強度を考える場合、はりの支持条件がどうかとか、荷重条件がどうかとか、難しい話しをしだすときりがないので、ここでは、両端固定のはりの中央に集中荷重が働いた場合のみについて説明します。
(前記、3人掛けのベンチで言えば、座面(A点−C点間)の部材である。)
 これにより、感覚的につかんでいただければ、それで良いと思う。

 この場合のモデル図、せん断力図、曲げモーメント図は、次の様になる。
はり

 まず、せん断力によるはりの応力(τ)を考える。
 せん断力図に示した様に、せん断力(F)は、値のみを考えるとはり全体が同じ値W/2 である。
 これより、せん断応力(τ)は、その断面積をSとすると、
τ=F/S=(W/2)/S=W/2・S・・・(4)
となる。

 木工品において、縦框にはり(幕板や貫)がホゾで入る場合、はりの断面積より、ほぞの断面積の方が小さくなる。
 つまりは、このホゾの部分のせん断応力が一番大きくなるということであり、気をつけなくてはいけない盲点である。
 必要に応じ、ホゾに小根(こね)をつけ、断面積を増やし、せん断応力を下げる配慮が必要な場合もあることをお忘れなく。

 次に、曲げモーメントによるはりの応力(σ)を考える。
 曲げモーメント図に示した様に、曲げモーメント(M)は、値のみを考えると、A点、B点、C点のそれぞれで最大となり、その値は、W・L/8である。
 これよる応力の値(σ)は、はりの上面(点)、下面(点)で、最大となり、
σ=M・y/I・・・(5)
となる。
 ここで、yは、はりの中立軸からの距離であり、はりが矩形で高さがhの場合
y=h/2・・・(6)
となり、はりが丸形で直径がdの場合
y=d/2・・・(7)
となる。
 また、Iは、断面二次モーメントであり、以下のようになる。
 はりが矩形で高さがh、幅がbの場合:I=(b・h^3)/12・・・(8)
 はりが丸形で直径がdの場合:I=π・d^4/64・・・(9)

 はりが矩形の場合を考え(5)に(6)及び(8)を代入すると
σ=M・(h/2)/((b・h^3)/12)
 =6M/(b・h^2)・・・(10)
となり、矩形のはりの幅(b)を倍にしても応力は半分にしかならないが、高さ(h)を倍にすると応力が1/4になることがわかる。
(逆に、幅を半分にしたら、応力は倍になるが、高さを半分にしたら、応力が4倍になるということでもある。)

 はりが丸形の場合を考え(5)に(7)及び(9)を代入すると
σ=M・(d/2)/(π・d^4/64)
 =32M/(π・d^3)・・・(11)
となり、丸形のはりの直径(d)を倍すると応力が1/8になることがわかる。
(逆に、直径を半分にしたら、応力は8倍になるということでもある。)

 仮に、b=h=dの矩形と丸形のはりの応力を比較すると、
(矩形の応力):(丸形の応力)=1:1.7
となります。
 丸形(丸棒)を使う場合に注意しなくてはいけない点ともいえるでしょう。


 ちなみに、はりのたわみ量は、荷重(W)とはりの長さ(L)の三乗に比例し、断面二次モーメント(I)に比例します。
(断面寸法関係により、たわみがどうなるかは、上記を参考にそれぞれ考えてみて下さい。)

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