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木工四方山話(Moku-koubou Soutarou)

最終更新日:2005-11-07


No.023【ブナ科の木材に起きやすい内部割れについて】・・・2005-11-07


 以下は、お客様との打合せ時に受けたご質問にお答えしたものです。
 以前、同業者の方でも、良く分っていない方・気付いていない方がおられましたので、参考まで・・・。
(一部、補足追加などの内容変更を行っています。)

 家具用材に使われる木材は、充分に乾燥させた後、材として使用します。
 (自然乾燥、人工乾燥)
 (家具となった後の変形・狂い・割れなどを少なくするため。)
 この乾燥時に、木材は、変形や割れなどを起こしやすく、割れは、表面からは確認できない内部割れを起こしている場合もあります。
 (内部)割れは、乾燥の方法や樹種により、入りやすいさが異なってきます。

 ブナ科の木材(
カシナラブナオークビーチなど)には、ガラス質の様な放射組織があります。
 その中でも、
ナラオーク材は放射組織の幅が広く、これが材の表面に出た場合に、模様となり、斑(ふ)と呼ばれ好まれます。
 (虎の模様のように見える場合が有り、虎斑(トラフ)と呼びます。)
 その反面、乾燥方法が適切でないと、放射組織に沿って割れが入りやすいのです。

 表面的割れや材の加工時に表面に出て来た内部割れについては、欠陥として、その個所を家具用材として使用することはありませんが、内部に隠れた内部割れについては、認識が出来ませんので、そのまま使用する可能性があり、家具になった後、永年変化によって、表面に割れが出てくる場合があるのです。
 表面に割れが出て来たからといって、家具が壊れるということは、まず、ありませんが、見栄え上、よろしくない。


 (以下は、木工屋、家具作家としての立場で考えた、追記です。)
 では、内部割れの無い(少ない)材を使う(購入する)には、どうすれば良いのでしょうか?

 樹種については、デザイン(意匠)や強度、入手性、価格などにより、必然的に決ってきます。
 だから、内部割れの起き難い樹種に逃げるというのは、好ましくないと思います。
 (あくまでも、木工屋、家具作家としての立場で。)
 (ほぼ同種、あるいは、それ以上の材に変更することは、あると思います。例:
オーク水楢

 このため、乾燥方法(保管を含む)の適切な木材を購入出来る環境を整えると言う事が重要となるのです。
 
 樹木が伐採された後、家具となるまでの間には、簡単に言えば、次の様な工程があると言って良いでしょう。
 @伐採→A製材→B乾燥→C材木屋(保管)→D家具製造
 そして、それぞれの工程に携わるひと(業者)は、異なります。
 私たち家具製造に携わる者が直接接触するのは、Cの材木屋です。
(Bの業者に直接会い、あるいは、選べれば良いのですが・・・。)

 以前、取引のある材木屋さんに
オーク材の内部割れについて、質問をぶつけたところ、次の様な説明を受けたと記憶しています。

 人工乾燥時に、適切な蒸気乾燥を行わないと、
オーク材などは、割れが起きやすい。
 そして、割れが多く出る材を納める(乾燥)業者には、指導やクレームをぶつけ、それでも改善されない場合は、取引先を変える様にしている。
 
 直接、乾燥業者に接触しない(出きない)我々としては、次の様なことが、対策と言えるのではないでしょうか。
 ・信頼できる材木屋より購入する。
  (信頼できる乾燥業者で乾燥した材を取り扱っている。)
  (乾燥業者などに厳しく対応できる。)

 ・品質低下(割れの割合が多くなるなど)の傾向がある場合は、材木屋に適宜伝える(クレーム)。
  (改善されない場合は、取引先の変更も検討要。)

 ・代替材(樹種)の購入先を知っておく。


 我々の作る家具などは、お客様の納めた後に、長い年数を掛けて、評価されていくものです。
 (安かろう悪かろうが当然で、売れさえすればいいと言う家具を製造・販売しているメーカーは、除く。)

 例え、家具製造工程に問題がなく、その前工程に問題があるとしても、不具合が発生すれば、それは、全て我々(製造工程)の責任・実力と見られるのである。
 
 傾向管理を含め、より良い材を入手することができる様努力をしていかなくてはいけないということであろう。
 (鉄鋼材の様に、素材の品質が規定されていないのであるから・・・。)

 最後に、傾向管理のためのヒントを。
 表面に出ているが、大きく成長していないため、見た目上は、見付けられない(見付け難い)内部割れの見付け方を。
 オイルフィニッシュにて、オイルを拭き取り後、放射組織(斑)に沿って、オイルが吹き出してきたら・・・それが内部割れです。
 (拭き取りによる、浸透圧の関係で、内部割れに染み込んでいたオイルが吹き出す。)

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