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木工四方山話(Moku-koubou Soutarou)

最終更新日:2009-05-25


No.032【吸付き桟について】・・・2006-06-13


 一枚板の机やテーブルの天板のそり止めに用いる上写真の様な桟木(角材)を吸い付き桟(すいつきさん)と呼びます。


 吸い付き桟の取付方法としては、次の様なものがあります。

 @天板に蟻形の溝を掘り、桟に蟻形の突起を作り、滑り込ませる(打ち込む)。

 A桟にボルトやネジ用の長穴を設け、天板に締め付ける。

 B桟を単にボルトやネジで天板に締め付ける。

 C桟を接着剤で天板に貼りつける。


 吸い付き桟は、天板の木目の方向と直行した方向に取り付けるため、BCについては、天板の収縮にともない、不具合が起きるためすべきで無い方法です。
(天板が痩せたり太ったりしながら痩せていこうとする時に、桟がそれを邪魔し、最悪の場合は、天板が割れる。)
(不具合が起きるか否かは、寸法にもよる。)
【木材の伸縮について】を参照方。)


 Aについては、一見、天板の動きを邪魔せぬ考慮がされているようですが、長穴をボルトが本当に滑るのか・・・私には疑問であり、この方法を使ったことはありません。
 (金属のボルトを締めるということは、集中荷重であり、ボルトの頭が木材に食い込んで当然であり、局部的に締め食い込んだボルトの頭が滑るとは思えない。)


 @が、最も適した方法だと私は思っています。
 溝にはまり込んだ木材同志が滑り、収縮を可能とし、お互いの永年変化による痩せを補う様にお互いを引っ張り合う構造であり、まさにこれぞ吸付き桟だと思っています。


 但し、@にはいくつかの欠点(?)もあります。

 ・きちんと木の特性を理解した者による精度の高い加工が必要であり、非常に手間がかかる。
 (千切りと同様で、精度の悪い吸付き桟なら、無い方が良いと思えるものや、Aの方法の方が良いのではと思えるもあります。)

 ・デザイン的に制約を受けやすい。
 (桟は、天板のそりを押さえるために充分な剛性を必要とするため、太く、存在感が大きく、デザインを邪魔する場合があります。)



 吸付き桟とは違いますが、幕板方式の机などで天板を取り付ける方法に”駒止め(コマドメ)”という方法があります。
(上写真参照方。)
 これは木製(鉄製)の駒(コマ)を天板にネジなどで止め、その駒(コマ)が机の幕板に掘られた溝(穴)にはまり込むというもので、天板の収縮を、駒(コマ)と幕板の溝の間の滑りが吸収し、反りは幕板が押さえるという方法です。

 駒止めであれば、上記@の欠点やA〜Cの不具合を補えると言えますが、やはり、木は痩せますが、鉄(ネジ)は、痩せませんので、時折、ネジを増し締めしてやる必要があります。

 また、@が、分布荷重として反る力を受けるのに対し、駒止めは、集中荷重で力を受けるという点も考えておかなくてはいけないでしょう。


 最後に、当工房における、上記@(蟻形吸い付き桟)の入れ方の特長、及び、その理由について、簡単に説明しておきたいと思います。

 木工房 宗太郎の吸付き桟の蟻溝は、基本的に、前後ともに貫通とします。
(一般的には、貫通にしないものや、埋め木を施すという考え方が多い様です。)

 これは、吸付き桟の本来の目的・・・板(机の場合、天板)の反りを押さえるということを重視するためであります。
 不貫通や、埋め木をする場合、板(天板)の端まで、吸付き桟を伸ばせないため、端の反りを押さえることが出来ないのです。

 これと、同様の理由で、蟻が飛び飛びになる、寄せ蟻とすることもありません。

 蟻溝を隠すという考えは、木口は隠す方が良いという様な考えに基づくものであると思いますが、本来の目的・機能を低下させてまで行なうことには、疑問を持っています。
 面の処理を確実(きちんと)に行えば、危険性は無く、また、美しい(意匠的)と私は考えます。


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