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木工四方山話(Moku-koubou Soutarou)

最終更新日:2006-09-07


No.034【標準数について】・・・2006-09-07


 ”標準数”というものをご存知だろうか?

 定義を言えば、『標準数とは、等比数列(隣合う数値の比が一定)を丸めたもので、工業製品などの寸法などを決める場合に用いるものである。』となる。

 その数列としては、日本工業規格(JIS Z 8601)や、国際規格ISOなどで定められている。


 聞いたこと無い・・・と言われる方が、多いかと思うが、実は、身の周りのものにも使われているのである。

 その一例として、単車の排気量がある。

 50cc、125cc、250cc、400cc、500cc、750cc、900cc・・・

 これらは、系列(優先する並び)は、多少入り組んでいるが、標準数列にある数値である。


 一般生活において、キリの良い数値とい言えば、5飛びとか10飛びという数列が頭に浮かぶと思うが、物作りの世界では、標準数がキリの良い数値ということになっている。

 それは、なぜかと言うと・・・

 例えば、10飛びの数列:10,20,30・・・・・90,100と言うような数列では、数値が小さい範囲では、10という飛びは大き過ぎ、数値が大きい範囲では、10という飛びは、小さ過ぎるのである。
(10から20へは、値が倍になるのに対して、90から100になるのには、1割り程度の増加)

 そこで、等比数列という考え方を用い、この点を解決し、数値を選ぶ上での、より所としたのが、標準数である。


 では・・・木工の世界で、この考えは、活かされているのか?

 恐らく、Noである。

 木工品(家具)の寸法で、JISで定義されている事務机の寸法でさえ標準数は、採用されていない。

 それが、なぜかということを推測すると・・・日本の木工の歴史は、古く、工業製品の規格なるものが導入されるずっと以前より、日本の木造建築に順ずる(適合する)寸法の飛びを採用し続けてきたためであろう。


 日本家屋の寸法の基本にあるのは、畳の寸法である。

 約900mm×約1800mm・・・通称、サブロクサイズと呼ばれるもので、3尺×6尺である。
 ちなみに、6尺が1間であり、畳2枚の広さで、1坪(つぼ)・・・3.3平米である。

 現在販売されているベニアなど合板類の基本となるサイズもサブロクサイズであり、これを定義しているのは、JIS(日本工業規格)ではなく、JAS(日本農林規格)である。


 さて、なぜ、木工の世界に無い標準数という考えをこの”木工四方山話”で、説明するのか・・・それは、この考え方が、合理的で優れた考え方であるからである。

 基本的製品の寸法に、標準数を採用することは、諸事情により、難しい面が多い。

 ただ、この合理的考え方を理解すれば、数値をスバリそのままの標準数を使用しないとしても、等比数列的な考え方を採用することにより、無駄を省くことができるのである。


 例えば・・・あなたの工房に常備している木工用キリのサイズの飛びは、どうなっていますか?

 経済的に余裕があるため、1mm飛び、あるいは、0.5mm飛びで、数十本置いている?

 ある意味、これぞ、無駄である。

 同じ比で大きくするとまでいかないとしても、小さいサイズの範囲は、0.5mm飛びであったとしても、その上は、1mm、更にその上は、3mm・・・と、飛びを大きくしていって良いのである。

 あくまでも、一例ではありますが、これが、合理的な標準化の考え方なのです。

 他にも、同様の考え方で、購入する工具、製作する治具の飛びを考え、省ける無駄はあるはずです。

 あなたなりに、考えてみては、いかがだろうか?



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