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木工四方山話(Moku-koubou Soutarou)

最終更新日:2006-09-07


No.035【公差について】・・・2006-09-07


 公差というものをご存知だろうか?


 (寸法)公差とは、呼び寸法に対する最大値と最小値のことであり、最大値と最小値の差が、公差幅である。

 これは、物作りの場面にける、加工(許容)精度のレベルであり、一般的には、加工者に指示するために図面などに表記されるものである。


 物作りにおいて、『100mmで加工しなさい。』と言われても100.000000・・・mmで加工するということは、無理であり、また、無駄でもある。

 『俺なら、加工できる!』という人が居るとしたら、そのひとは、大法螺吹きである。

 100.000000・・・mmで加工するためには、100.000000・・・mm以上の精度をもつ、測定器具が必要となるが、それは、誰が作り、管理・補正しているというのか?


 ここでいうところの、100mmというのは、あくまでも”呼び寸法”である。

 必要とされる精度は、作るものによっては、『95mm〜105mm』で良い場合もあるだろうし、『99.999mm〜100.001mm』の場合もあるだろう。

 また、場合によっては、最大値が100.000mmの場合もあるし、最小値が100.000mmの場合もある。


 精度の高い加工を行なうには、精密な機械を用いる必要があったり、時間をかけて加工しなくてはいけない。

 『95mm〜105mm』で良い精度の加工を『99.999mm〜100.001mm』の精度の加工をするのは、無駄である。

 また、逆に、『99.999mm〜100.001mm』の精度が必要なものを『95mm〜105mm』の精度で加工すると・・・使い物にならない。


 『100mmで加工しなさい。』と言われた場合、『精度は、どの程度か?』・・・つまり『公差は?』ということを、自分成りに考え、その考えで良いか聞かなくてはいけないのである。


 木工の世界で、この”公差”という考えは、採用されているだろうか?
 NOである。

 木工の世界では、現物合わせの加工が多く、また、職人の”カンとケイケン”に頼ることが多く、言葉で表すとしても、”白書(シラガキ)一本分”、”髪の毛一本分”、”スーっと入るくらい”、”クッと入るくらい”などと言う定量的でない、表現をされる。

 だから、先輩職人や師匠の”カンとケイケン”を時間をかけ、盗み、身にしていく必要があるのである。


 徒弟精度があった古き良き時代では、これでよかったのであろう。

 しかし、今は時代が違う。

 何事も、定量的に表し、それを評価することをしなくてはいけない。

 そのために、この”公差”という考えが、重要になってくる。

 例え、自分が設計して、製作するとしても、これを曖昧にして作るのであれば、作るものに、”ムリ・ムラ・ムダ”がでてしまう。

 公差の考え方は、”ムリ・ムラ・ムダ”を無くすための、合理的な考え方なのである。


 100mmという寸法に加工する場合、”公差幅は、どの程度なのか?”、”公差の中心値は、どこにあるのか?”ということを常に頭において加工することにより、”ムリ・ムラ・ムダ”を無くすことが出来るのである。


 実際問題として、木工の世界において、全てを公差管理していくことは、”木”というものの、物性値の幅、特性などを考えると、困難と言える気もする。

 しかし、この様な考え方を知っていること、常に頭に置いて置くことは、大切なことであると、私は、考える。



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