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木工四方山話(Moku-koubou Soutarou)

最終更新日:2009-12-29


No.040【木材の収縮量の計算方法】・・・2009-09-20

 無垢の木をつかって、木工(家具作り)をする上で、木材の収縮量を頭において、構造設計・製作にあたることが、長く使える・故障しない・壊れない家具となるか否かの重要なポイントになる場合が多くある。

 とは言え、”収縮する”ことは頭にあるが、その量については、どう考えれば良いのか、どう計算すれば良いのかがわからぬまま、”この程度だろう・・・”という曖昧なまま、家具作りをされている作り手も多いのではないであろうか?
("収縮する"ことすら頭に無く、家具などを作っている作り手は、論外。)


 以下に、”シンプルな学習机U”の天板を例に、収縮量を概略計算するので、参考にしていただきたい。


T:諸元

   天板材:・・・水楢(みずなら)
   天板寸法
(mm) : W(木目方向) × D(木目に直行方向) = 910 × 610

"シンプルな学習机U”の外形図


U:平均収縮率(含水率1%の変化による、収縮率)
 
   木目に直行した方向の板目材の平均収縮率:δt=0.35 %
   木目に直行した方向の柾目材の平均収縮率:δr=0.19 %
   (”木材工業ハンドブック”の水楢の物性値より)

   ちなみに、木目方向の収縮率は、直行した方向の収縮率(板目)の1/10〜1/20であるため、収縮しないと考えて計算する(安全サイド)。



V:平衡含水率(温度・湿度とつりあう含水率)

  高温多湿(梅雨時期)を仮に30℃、85%とすると、平衡含水率:Umax=18 %
  低温少湿(冬場時期)を仮に10℃、20%とすると、平衡含水率:Umin=5 %
   (”木材工業ハンドブック”の木材の平衡含水率表より)

  注1:高温多湿、低温少湿の温度、湿度を何度と見るかは、製作する場所・使用する場所の環境によるので、上記は、あくまでも計算例と考えて下さい。

  注2:平衡含水率とは、木材が長期に亘りその環境下に置かれた場合に、いずれ行き着く含水率であり、直ぐにそうなるというものでは無い。
     一般的に、含水率が減る方向の動きは遅く、十数年、数十年のスパンで、その値に達すると言われている。


W:含水率の変化量

 凾t=Umax−Umin=18−5=13 %


X:収縮率・収縮量

   天板が板目材の場合の収縮率:凾cpt=δt×凾t=0.35×13=4.55%

   天板が柾目材の場合の収縮率:凾cpr=δr×凾t=0.19×13=2.47%


   天板が板目材の場合の収縮量:凾ct=D×凾cpt=610×(4.55/100)=27.8 mm

   天板が柾目材の場合の収縮量:凾cr=D×凾cpr=610×(2.47/100)=15.1 mm

  (奥行きが900mmある板目天板であれば、約41mmの収縮となる。)
   

Y:最後に

   上記計算例の温度、湿度の設定は、あくまでも、私が安全サイドとして、より長期に使える・故障しない、壊れない無垢の木の家具を作ろうという思いで行っている木工房 宗太郎の製品を作るためのものである。
   これにより、この収縮を吸収できる駒止め方式で、この”シンプルな学習机U”の天板は、幕板に結合している。
   (場合によっては、吸付き桟方式も考えられる。)

   上記の様な収縮量を考慮せず、設計・製作し、天板と幕板をビスや接着剤で結合してしまうと、どの様な行く末に向かうのか、きちんと考えて、計算して、そして、感じていただきたい。

   さらに、上記”注2”で、ふれた様に、含水率の低下は、長期スパンで変化するものであり、数ヶ月や、数年で問題が起きないから、これで良いなどと考えることにも問題があるということを知っておいていただきたい。
   (使用方法、環境によっては、短期で低下する場合もある・・・例:囲炉裏、炬燵など。)




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